弊社は昭和24年より伸線用潤滑剤の研究を始め、昭和27年神戸製鋼所に於いて、エトナー乾式連続伸線機による石灰被膜60C、500メートルの伸線に成功しました。
これがわが国に於ける乾式連続伸線機実用の始めであり、乾式連続伸線機潤滑剤の国産第一号であります。
昭和30年福知山溶接棒工場に於いて、MD伸線に成功、次いで神戸製所溶接棒工場にて、MD伸線用乾式潤滑剤を完成致しました。
昭和41年神戸製鋼所に於ける硬鋼線のMD伸線研究には、伸線用潤滑剤の製造を担当し成功致しました。
伸線業界の発展と共に幾多伸線の経験を重ね、普線に於いては三次加工に適する残在被膜の調節法、硬鋼線に於いては、単線の美しい肌の出し方に独自の技術を習得しました。
昭和48年のオイルショックを契機として鉄冷えが始まり、線材の製造も頭打ちで、高品位多品種時代となり、革新時代に入りました。
伸線業界は連伸機普及による近代化以来既に半世紀、経過しました。
その間使われた伸線剤はステアリン酸塩でその性能は融点が100℃~200℃炭化温度は315℃であります。
伸線作業に於ける発熱は、変形によるものが80~85%を占め、15~20%が摩擦熱であります。
従って伸線用潤滑剤として重視すべきは耐熱性であります。
高分子脂肪酸の活用により、耐熱性、耐圧性、吸着性、延展性も向上し、伸線能率は向上します。
弊社は昭和50年より高分子潤滑剤の開発を志し高性能潤滑剤の整備を完了しました。
伸線用潤滑剤も中味を変え、伸線能率向上を計らねばなりません。
これ等、新製品は必ずや需要家各位の御満足頂けるものと確信して居ります。
技術革新のお役に立てれば幸いです。
取締役会長 松浦 宏